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日本酒の歴史

日本酒の歴史はおよそ2000年と言われています。紀元前500〜1000年頃に稲作が伝来したことにより、米による酒造り、つまりは日本酒造りが始まったものとされており、酒造りは巫女の仕事として始まったと考えられております。米を原料とする酒である事がわかる確実な記録が登場するのは『魏志倭人伝』より500年も後になります。

日本酒の起源とされているのは大隅国風土記(713年以降)の中に、大隅国では、生米を噛んでは容器に吐き出し、一晩以上置いて酒を醸していたと記されており、この酒は「口噛みの酒」と呼ばれていました。この方法は世界の広い範囲で見うけられます。

日本酒の造り方

1、精米

玄米の外側部分に多分に含まれているビタミン、タンパク質、脂質によって製造工程で酵母の働きを過剰に促進し、香味のバランスが崩れたり、雑未が多くなったりするため、精米を行い、不要な部分を取り除きます。精米後、米を削る家庭で発生する摩擦熱、それによる水分の状態を均一化するために冷暗所で保管します。これを「枯らし」と呼びます。※「枯らし」の期間は精米歩合により異なりますが、概ね2〜3週間です。尚、精米歩合とは、どれだけお米が残っているかを表した数値であり、70%であれば30%のお米を磨いた事になります。

2、蒸し

「枯らし」の後、「洗米」→「浸漬」(※米に水を吸わせる。)→「蒸し」となります。日本酒造りでは米は炊かずに蒸します。蒸気で加熱することにって、米のデンプン質をα化し、糖化酵素の作用を受けやすくします。「蒸し」の作業後は米の冷却を行います。


※写真は「蒸し」の工程になります。

3、製麹(せいぎく)

日本酒造りでは、麹カビ菌を米に繁殖させることを「製麹」と呼びます。日本酒造りにおいて最も重要な工程とされてます。約20%ほど蒸し米から麹米になります。尚、「純米」や「吟醸」を名乗るためには、使用する総米量に対し、15%以上の麹米の使用と定められています。

4、酒母

発酵に必要な酵母を培養するために必要な工程で、「蒸米」・「麹」・「水」をタンクにいれアルコール発酵をおこします。この「酒母」の醸造方法により、蔵内にいる乳酸菌を取む「生酛系」と醸造用の乳酸菌を使用する「速醸系」に分かれます。

5、醪(もろみ)

「水」・「蒸し米」・「酒母」を主に3回に分けて、大きなタンクに入れ発酵します。これを「3段仕込み」と言います。これ以外にも、4段仕込み〜10段仕込みなども稀にあり、仕込みが多くなれば原則、より甘口の日本酒になります。約2週間〜1ヶ月ほど発酵を行います。

6、搾りから瓶詰め

製品化するための最後の工程。「上槽」(※酒を搾る工程)→「滓引き」→「濾過」と行い、商品によって「火入れ」を行います。この「火入れ」と呼ばれる低温過熱殺菌により、酒に残っている酵素の働きを止め、酒の質を安定させる効果があります。「火入れ」後は瓶に詰められるまで「貯蔵」され、殆どの蔵元は酒の品質を均一にするため日本酒を「調合」します。※稀に「○○号タンク仕込み」などと記載され、特徴のある酒と区別して販売している蔵元もあります。その後、飲みやすいアルコール度数に「割水」され、再び「濾過」。そして出荷前にもう一度「火入れ」を行い、瓶詰めされます。

以上、ここまで「日本酒の造り方」について駆足で説明させて頂きました。

特定名称

日本酒には「特定名称酒」と呼ばれる呼称があり、皆様も良く御存知の「純米」や「吟醸」がこれにあたります。下の表が「特定名称」になります。

特定名称 使用原料 精米歩合 香味・外観等 この酒質の
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純米大吟醸 米、米麹 50%以下 吟醸造り、固有の香味
色沢が特に良好

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純米吟醸 米、米麹 60%以下 吟醸造り、固有の香味
色沢が良好

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特別純米 米、米麹 60%以下、または
特殊な醸造方法
香味・色沢が特に良好

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純米 米、米麹 規定無し 香味・色沢が良好

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大吟醸 米、米麹
醸造アルコール
50%以下 吟醸造り、固有の香味
色沢が特に良好

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吟醸 米、米麹
醸造アルコール
60%以下 吟醸造り、固有の香味
色沢が良好

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特別本醸造 米、米麹
醸造アルコール
60%以下、または
特殊な醸造方法
香味・色沢が特に良好

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本醸造 米、米麹
醸造アルコール
70%以下 香味・色沢が良好

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日本酒度・酸度って?

日本酒の味わいを表す目安として一般的に「日本酒度」と「酸度」と言われる数値があります。


「日本酒度」

日本酒度が低ければ「甘口」高い数値になればなるほど「辛口」になります。(甘口はマイナス表示の商品が多い)


「酸度」

酸度が高い数値になるほど旨味成分が多い事を示します。淡麗な味わいほど酸度が低くなります。


※「日本酒度」が高くても「酸度」が同じく高ければ、辛口のお酒でもまろやかに感じられます。そのため、酸度によっては、表記されている「日本酒度」より辛くない様に感じます。

生酒の種類

生酒とは火入れの工程を行わずに出荷される商品です。「火入れ」の工程を無くす事で、フレッシュな味わいを楽しめます。しかしながら、保存には向いておらず、非常に品質が変化しやすく、保存には細心の注意を払う必要があります。「生酒」には3種類の方法があります。

  • 生酒
  • 非常に香味が華やかでフレッシュな酒。
    品質が変化しやすいため、開栓後は早めに消費するのがおすすめです。
  • 生貯蔵酒
  • 貯蔵前の「火入れ」を行わず、出荷時に「火入れ」を行う。
    商品が出荷されるまで、2〜1ヶ月ほど生酒の状態で保存される。
    フレッシュさもあり、口当たりがまろやかな酒が多い。
  • 生詰め酒
  • 生貯蔵酒とは逆に「火入れ」を行ってから貯蔵し、出荷時の「火入れ」を行わずに出荷される酒。
    一般的には半年ほど貯蔵して熟成させてからの出荷になり、「秋上り」や「ひやおろし」と呼ばれる商品に多い。

生酛と山廃

「日本酒の造り方」でも少し触れましたが、蔵内に生息する乳酸菌を取り込み繁殖させて発酵させる生酛と山廃の特徴は、一般的な醸造方法に比べ、酒母の育成に時間がかかり、コストが高くなります。その見返りとして様々なアミノ酸が形成され、旨味の強い味わいになります。ただ、品質を安定させるためには技術と高度な設備が不可欠となります。

  • 生酛
  • 明治時代まで酒母造りで行っていた手法。昔は精米技術も発達しておらず、米粒が大きな状態であったため、蒸し米を棒ですり潰し、糖化を促進させるの作業を行っていました。米をすり潰す事で、菌の環境が変化し多彩な旨味成分が生まれる。
  • 山廃酛
  • 蒸し米を棒ですり潰す作業は非常に重労働であったため、研究したところ、すり潰す作業をしてもしなくても酒母の成分は、変化していないとの研究結果から、このすり潰す作業が廃止された。

    尚、米をすり潰す作業を「山卸し」と言い、これを廃止した事で、「山卸し、廃止酛」を語源として「山廃酛」と呼ばれるようになった。

近年ではこの「生酛」に再度注目が集まっており、山卸し作業を敢えて行う蔵元も増加しています。専門的過ぎて御説明をしませんが、どうやら「山卸し」作業を行う事で、確実に菌の環境・状態に変化が生まれるようです。

その他の名称

日本酒にはまだまだ沢山の名称があります。主な名称を御紹介します。

  • 原酒
  • 水を加えていない日本酒の事で、アルコール度数が18〜20度程あるのが一般的です。
    水を加えていない分、濃厚な味わいになります。
  • 古酒
  • 日本酒を長期間蔵元で貯蔵した商品になります。
    キレイに熟成するとナッツやバターなどの香りと、米の甘味が引き出され、
    極上の酒に変貌します。
    熟成により角が取れまろやかな酒質になります。
  • 樽酒
  • 木製の樽で貯蔵してその特性が現れた日本酒です。
    木の香りが非常に華やかな印象のお酒になります。
  • 生一本
  • 極少数のお酒に表示されておりますが、単一の酒蔵のみで醸造した純米酒をさします。
    この「生一本」の名称が入った日本酒は、蔵元が力を入れている商品である事がわかります。
  • 貴醸酒
  • 仕込みの水を一部「日本酒」にして仕込んだ酒。
    非常に甘口の酒になります。濃厚でデザートに合わせると最適です。
  • 斗瓶囲い、袋吊り、雫酒
  • 華やかな香りが特徴で、特殊な搾り方を行った最高級品に分類されます。
    全国新酒鑑評会に出品される酒の多くは、このタイプの酒です。

酒米による違い

皆様もよく耳にした事のある「山田錦」。お酒の名前だと思っている方も非常に多いほど認知度がありますが、実は日本酒の製造に使用される、いわゆる「酒米」は100種類を超えます。ここでは、主に使用されている酒米を紹介します。

名称 主要産地 特徴 この酒質の
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山田錦 兵庫県 酒米の王様。華やかな香りと膨らみのある米の甘味が特徴で、
高精米にも耐えられる。

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美山錦 長野県、秋田県、山形県 主にスッキリとした軽快な酒が出来る。
余韻に旨味のある渋味が出るのが特徴。香りは穏やか。

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五百万石 新潟県、福井県、富山県 淡麗でスッキリとした酒になる。
素朴な旨味が出ている酒が多く、優しい味わい。

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雄町 岡山県 濃厚でしっかりとした酒が出来る。
余韻にキレのよい辛味を感じる。山田錦並みの評価を受けている。

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八反 広島県 香りはほとんど無いが、その分米の旨味がしっかりとでるタイプ。
独特の旨味がある。

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秋田酒こまち 秋田県 特殊なタンパク質の構造により、精米歩合よりも綺麗な酒質になる。
秋田を代表する酒米。

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飲み方提案

日本酒の楽しみ方は様々です。提供される温度もその一つ。適切な温度で楽しめばより日本酒の奥深さを知る事が出来ます。

当ホームページで記載している飲み方の適正温度になります。是非、御参考の上お試しくださいませ。

  • 熱燗(50〜60度)
  • 一般的には普通酒や本醸造のお酒に向きます。
    また、新潟のお酒は大吟醸でも熱燗が一番と言う蔵元もあります。
  • ぬる燗(35〜45度)
  • 生酛と山廃など酸味がしっかりしているお酒を中心に合う温度です。
    米の旨味がはっきりと感じられるのみ方で、じっくり味わうのに最適です。
  • 常温(15〜20度)
  • 日本酒が燗向けなのか冷や向けなのかを図るのに最適な飲み方です。
    米の旨味もしっかり感じられる温度で、この温度で華やかな印象があれば冷や向き、
    まろやかさを感じるようなら燗に向いてます。
  • 冷や(5〜10度)
  • 華やかでフレッシュなお酒の飲み方です。
    冷やし過ぎると敏感な方は苦味を感じますので、その場合は少しだけ温度を上げると飲みやすくなります。
    一般的には5度くらいまで冷えている日本酒が多いですが、5度まで冷やすと冷え過ぎな日本酒が多いです。
    少し時間を置いてから飲むと良いです。
    夏場は温度が直ぐに上がるので、少しずつ注ぐのも一つの方法です。

Q&A

ここではよくある御質問にお答えします。

  • 賞味期限ってあるんですか?
  • 賞味期限は原則ありません。しかしながら、一般的に品質は劣化します。大抵は1年程で期限切れとしています。
  • 本醸造系のお酒ってアルコールを添加してるから体に悪いんですか?
  • アルコール添加が体に良くないという実験結果はありません。特に、大吟醸などにアルコールを添加するのは、飲みやすく仕上げるために「酸度」を調整する目的で行っている場合がほとんどです。
  • 買った後はどう保存すればいいですか?
  • 可能なら冷蔵庫に入れてください。また、香りの強い食材とは一緒に保存しないのが望ましいです。開栓後は冷蔵庫で保管してください。1週間程度で飲みきるのが適切です。
  • 日本酒を飲むと2日酔いするんですが…
  • 日本酒を原因とした2日酔いはありません。極稀に体質的に出てしまう方もいらっしゃいますが、悪酔い等の原因は飲み過ぎです。アルコールは体温まで上昇した後に体に吸収られるため、「冷や」で飲むとアルコールの吸収までに時間がかかり、飲み過ぎてしまう方が多いです。気をつけましょう。
  • 全国新酒鑑評会の金賞受賞が「大吟醸」ばかりなのはなんでですか?
  • とても良い質問です。全国新酒鑑評会での審査基準もありますが、前述のとおり、昔の造り方は生酛でした。生酛は蔵内の乳酸菌の力で酒母を造るため、蔵内が清潔で無い場合は雑菌が増え、それによる雑味が出ます。この、「雑味」があると「蔵内が汚い」と判断され、「大吟醸」の様な雑味の無いキレイな酒質が好まれるのです。※酸度で言えば「1.3」くらいまでが受賞酒の限界です。それ以上酸度が高いと「雑味」と判断されてしまいます。